黎明期(1952~1963年)

 戦後の混乱が残る時代、きこえない人々を取り巻く環境は厳しく、社会の理解や福祉制度も十分とは言えませんでした。そのような中、県内の仲間たちは互いに支え合い、親睦を深めながら、生活の向上と福祉の充実を願って活動を始めました。

 交通や通信手段も限られていた時代でしたが、「仲間とつながりたい」「安心して暮らせる社会をつくりたい」という先人たちの熱意によって、埼玉県聴覚障害者協会の礎が築かれました。協会の歴史は、ろう者同士の固い絆と助け合いの精神の中から始まりました。

揺籃期(1964~1975年)

 高度経済成長とともに社会が大きく変化する中、県内各地域の仲間との結びつきが強まり、組織としての基盤づくりが進められました。

 婦人部、青年部の設立、ろうあ者相談員の配置、集会や野球、陸上、スキーなどスポーツ大会などを通して、だんだんと仲間が集まるようになり、会員が増えてきました。

 会員相互の交流や親睦活動に加え、福祉向上や社会参加の促進に向けた取り組みも徐々に広がり、地域における活動の輪が広がっていきました。また、市町村協会との連携も進み、組織としての形が整い始めた時代でもありました。

確立期(1976~1987年)

 社会福祉制度の充実が進む中、当協会も組織体制の強化と活動内容の充実に取り組み、県内組織としての基盤を確立していきました。

 行政や関係機関との連携を深めながら、手話通訳者の養成や情報保障、教育、就労などさまざまな課題に取り組み、ろう者の社会参加と権利向上を目指した活動を展開しました。
 また、市町村協会との連携を強化し、県内全域にわたる活動体制の整備が進められたことにより、今日の協会活動の基礎が築かれました。

発展期(1988~1999年)

 社会の成熟とともに、ろう者を取り巻く環境も変化し、当協会の活動分野はさらに広がりました。
 教育、福祉、就労、文化、スポーツ、情報保障など、多様な分野で活動を展開するとともに、会員の社会参加を支えるための運動を積極的に進めてきました。
 また、関係団体や行政との協力体制も強まり、地域社会におけるろう者の存在や手話言語への理解が徐々に広がり始めた時代でもありました。

飛躍期(2000~2014年)

 情報化社会の進展とともに、ろう者を取り巻く環境も大きく変化し、当協会の活動はさらなる飛躍を遂げました。

 障害者権利条約の採択や障害者基本法の改正など、障害者施策が大きく前進する中で、「手話は言語である」という理念の普及に努めるとともに、情報保障や意思疎通支援の充実、災害対策、福祉施策の向上など、多岐にわたる課題に取り組みました。

 また、全国や関東ブロック、県内関係団体との連携を強めながら、手話言語条例制定運動へとつながる大きな流れを築いた時代でもありました。

共生社会推進期(2015年~現在)

 2015(平成27)年に埼玉県手話言語条例が制定され、「手話は言語である」という理念が県民共有のものとして広がり始めました。
 さらに、長年にわたり全国のろう者や関係者が求め続けてきた手話施策推進法が施行され、手話言語の普及と環境整備を進めるための新たな時代を迎えています。

 当協会は、情報保障、教育、就労、防災、福祉、文化など幅広い分野において、誰もが互いの人格と個性を尊重しながら安心して暮らすことのできる真の共生社会の実現を目指して活動を続けています。

 先人たちが築き上げてきた歴史と伝統、そして仲間との絆を受け継ぎながら、「手話言語を生きる」を合言葉に、次の80周年、その先の未来へ向けて新たな歩みを進めていきます。

創立大会・全国・関東大会等年次表

会員数・歴代理事長

埼玉ろう者新聞の歴史